JRバスが「まちバス」に参入し、にわかに
不穏な空気が流れてきていましたが、
ここにきて、北鉄もまさかの「兼六園シャトル」
参入で、泥沼化してきた感がある金沢市内の
路線バスがどのような状況であるかをご紹介いたします。

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金沢駅にて。
■「まちバス」の誕生

「まちバス」は07年6月30日より運行されている
100円バスで、西日本JRバスに運行は委託されて
いますが、運営は金沢商業活性化センターが行って
います。
なにやら聞きなれぬ名前ですが、これは金沢市が出資
して作られた第三セクターです。

運行開始の当初の様子は、 昨年の特集で取り上げて
おりますので、そちらをご参照ください。
とにかく、誕生の背景から既にこれまでの交通実験とは
異なっていたことは新聞報道を見ていても分かりました。

まずは、昨年特集の後の変化からご紹介いたします。
21世紀美術館前で時間調整。
画像:のっティ応援隊の隊長さんご提供。
07年10月の運行を前に若干の経路変更が行われ、
「金沢フォーラス」を廃止して西口バス停に統一、
このため経路も六枚町経由となり、さらに時刻の修正も
なされ定時性の向上が図られました。

そして年末までには、08年度運行の概要がまとまり、
増便と100円運賃の徴収、と本格実施が決定しました。

08年4月5日、新「まちバス」がスタートしました。
車両もこれまでのJRバス路線車の流用ではなく、
奈良県の「ならやまえきバス」
(07年より運行を開始するも利用低迷により08年3月
より大幅減便された路線)の車両を使用しています。
(結局は流用ですね。。。)
香林坊にて。
100円運賃となったものの、これまでの金沢駅西口発着
から東口発着となり、しかも駅舎から最も近い5番のりばを
使用したため利用者は急増し、同区間を走る北鉄バスは
見るも無残なくらいに乗客が激減しました。

まちバスは中型車を使用しているため収容力が小さく、
積み残しを多く発生させていますが、それでも発車前には
写真のように長蛇の列ができています。
これほどまでにまちバスが浸透したのは、北國新聞などが
大々的に取り上げた(同時に北鉄を批判した)ことも少なからず
影響していると思われます。

それでも、北鉄は動じませんでした。
JRが安さで勝負するならば、北鉄は本数の多さを武器に、
そのままそれを宣伝していけばよかったのですが…
しかし、どうも私が思っていたのとは別の方向に既に
北鉄は動き出していました。
07年度の運行は一般路線車を
使用していました。 21世紀美術館前にて。 08年度まちバスもスタート当初から
長蛇の列が。。。

■まさかの「兼六園シャトル」

08年6月、突如北鉄が100円バス「兼六園シャトル」
の運行を始めることを発表しました。

北鉄によるとこれは、観光客の移動手段を充実させるため、
だそうで、実際に周遊バス専用乗車券との併用を認めて
います。確かに、周遊号の混雑ぶりは異常で、これまでには
特例として一部の休日のみ同乗車券で一般路線バスの利用
を認めていました。これが解消されるのですから、観光客に
も分かりやすくなったことは間違いありません。

しかし、もちろん本当の理由は「まちバス」に乗客が流失
したことによる対抗策であることは誰が見ても明らかです。
まちバスとは異なり、幕は行先を表示。
兼六園シャトルは北鉄の気合の入れようをさっそく見せ
てくれました。なんと充当される車両は専用塗装をまとい、
金沢らしい(…と思われる)阪急マルーン(に私は見える)と
金色の、なんとも派手な姿となりました。

この専用車両は、昨年の新車3台(27-745,746,747)で東部と
西部の車両だったものです。
運行は西部が担当し、
金沢駅→武蔵ヶ辻→南町→香林坊(アトリオ)→香林坊(中央
公園)→広坂→成巽閣前→兼六園下(物産館)→兼六園下
(石川門)→広坂→(あとは往路と同じ)→金沢駅
という経路で、さすが「兼六園シャトル」と名乗るだけあり
ラケット循環の方法が「まちバス」とは異なっています。

既存の路線とは、リファーレ前を通過し、広坂に停車する
点で異なっています。
兼六園下にて。
画像ご提供:CHさん。
746号車のかつての姿。 そして突如08年7月、
兼六園シャトル専用塗装に。
画像:若原さんご提供。
運行開始日の7月5日の駅東口は大賑わいだったそうです。
JRが5番のりばなら、北鉄は6番のりばを使用し、
利用者にとって使いやすいようにとの配慮がなされて
います。(周遊号は依然1番のりばですが…柳橋住民と
してはあれがどれだけ邪●か。。。)

東口からは、「まちバス」が毎時00,20,40発、
「兼六園シャトル」が10,30,50発と、あわせて10分間隔
となりました。これでは乗客の奪い合いどころではなく、
「まちバス」の積み残しを「兼六園シャトル」が運ぶという
衝撃的な場面も見られました。

それぞれの乗り場には金沢商業活性化センター、北鉄の
係員も常駐しており、好評のようです。
いずれのバスも土日祝日のみの運行ですが、ほぼどの便も
満員という盛況ぶりで、さぞ金沢市も嬉しいことでしょう。
00年から観光客の足として活躍
している「周遊号」。
相乗効果で乗客増が期待される。
残念ながら、100円バスが倍増しても市内の渋滞は相変わら
ずで、金沢駅発車時には10分の等間隔だったものが、半周
した香林坊では2台同時にやって来ることもしばしばです。

渋滞はもちろんですが、100円バスに利用者が集中するた
め乗降に時間がかかり、これも遅延の原因となっています。
このため、後方の一般路線バスがいつまでたってもバス停に
入ることが出来ず、「バスの渋滞」も発生させる要因ともなって
います。

バス停は、既存の北鉄バス停を使用していますが、時刻表欄
は車両のカラーに合わせたオリジナルのものが使用されて
います。ところで、
右下画像の「兼六園シャトル」時刻表の横には高速富山行き
の時刻表がありますが、いつの間にか新しいデザインのもの
に変更されていますね。
100円であることを中扉に強調。
なにやら均一運賃仕様の
運賃表っぽく見えますね。
画像:CHさんご提供。 隣の富山行き時刻表のデザインに見覚えが…

まちバスが停車しているにもかかわらず、
10分後の兼六園シャトルの列がこんなに。。。 ■金沢市内路線バスの危機

帰省した私も早速乗車してみました。
まず驚いたのは、金沢駅東口の様子。3番のりばに巨大な
「やかん」ができていたことにも驚かされましたが、
5番のりばと6番のりばの長蛇の列にはますます驚かされ
ました。この時の先発は「まちバス」だったのですが、
すでにそれを待つ列は優に50人を超え、「まちバス」の係員
も次発の「兼六園シャトル」を利用するようにとのアナウンス
をしていました。

その「兼六園シャトル」のほうは、発車まで20分ちかくある
にもかかわらず、こちらも20人以上が待つという有様でした。
そして「まちバス」到着の頃には、左の画像のような感じに
なっていたのでした。この間、3本ほどの北鉄の一般路線バスが
香林坊へ向けて出発していきましたが、こちらは10人程度の
乗車にとどまり、100円バスを待つ人はこれら路線バスが
乗り場に着いても、そちらに流れるということはありませんでした。
北鉄も案内係を配して対応していますね。
画像:もりさけてんさんご提供。
このように、大盛況となっている「まちバス」と「兼六園シャトル」
ですが、「兼六園シャトル」のほうは同じ北鉄が200円の運賃で
今もなお同じ区間を運行しています。
金沢市内の200円均一運賃が高すぎる、とのことで金沢市は
これら100円バスの運行を要請したとのことですが、けっして
200円の運賃は高くないのではないと私は思うのです。
阪急バス、阪神バスの阪神地域の運賃は210円均一ですし、
京都市バスなぞは220円均一になっています。180円という
破格の運賃は、首都圏の一部でのみ可能なことであり、地方都市
金沢では200円が妥当だと考えられないでしょうか。

ましてや、北鉄は多くの郊外赤字路線を抱えており、補助金も
出ているという話ですが、私がよく利用する路線では香林坊から
終点まで日中でも誰も乗らないこともしばしば、という有様です。
これら郊外線の維持のためにも市内200円は貴重な収入源と
なっているはずです。
激減した一般路線バスの利用者。。。
そうであるからこそ、北鉄は金沢市の要請をキッパリと断って
きたのです。
それが、なぜこの時期に結局参入することになったのでしょうか。
「『まちバス』による減収を少しでも抑えるため」と新聞では
報じられていましたが、どう考えても兼六園シャトルは
さらなる減収を招いているとしか思われません。

北鉄が参入して「まちバス」から客を奪えるならともかく、
結果はますます北鉄一般路線バスの乗客を減らしているだけな
のです。そもそも「まちバス」にも収容力の限界があり、嫌でも
北鉄バスを利用しなければならなかったのが、「兼六園シャトル」
誕生によって、しかもこれで100円バスが10分間隔になった
ことで、いまや北鉄の路線バスは金沢駅発車時ではガラガラです。

金沢市の無茶な要望など突っぱねて、北鉄は本数で勝負すれば
よかったのではないでしょうか。
北鉄バスの本当の脅威は「まちバス」ではなく、
「兼六園シャトル」なのでは。。。 それに結局100円バスを運行しても「ふらっとバス」の指名は
JRバスになっているのです。こんな調子では、近い将来に
「改善」の名のもとで、郊外路線バスの大幅削減または
廃止が行われることは間違いないと思います。


「まちバス」によって、年間5千万円ほどの減収が見込まれる
とのことですが、おそらくこれの1.5倍ほどの減収となるのでは
ないでしょうか。それとも、減収となるのは加賀白山バスや
ほくてつバス、北鉄金沢中央バス(北陸鉄道本体はほとんど路線を
持っていない)となり、「北陸鉄道」そのものは黒字だとでも
言うつもりなのでしょうか。

正直、「兼六園シャトル」運行開始の知らせを聞いたときは
信じられませんでした。そんなことをすれば自らで自らの首を
絞めることになるからです。JRバスや金沢市に対して意地を
見せるのなら、もっと別のところで発揮してほしかったです。
このままでは、
お隣の福井鉄道の二の舞になるような気がしてなりません…
こちらも100円。ふらっとバス 基幹バスの実験にもなっている「シティーライナー


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かなり過激な発言をしましたが、
あくまでこれは私個人の感想と意見です。
おそらく北鉄も何らかの理由があって、100円バス参入に
踏み切らざるを得なかったものと思われますが、その理由を
私が知るはずもありません。

また、もりさけてんさんの 「兼六園シャトル」のページも合わせてご覧ください。
いろいろな見方ができると思いますし、それぞれの立場からもまた
違った意見があるかと思われます。
皆様のご意見、ご感想、お叱り(?)をお待ちしています。


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